ドル/円相場は、7月23日の77.94円をボトムに、78円台中盤まで切り返す展開になっている。欧州債務不安に関して、欧州中央銀行(ECB)などが政策対応に踏み切るとの観測が、リスクマーケット全体の下値をサポートしている。その結果、リスク回避のドル売り・円買いポジションが巻き戻され、ややドル高・円安方向に振れている。
欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁と独連銀バルトマン総裁が協議を行うとの報道を受けて、ECBが何らかの政策対応に踏み切るとの期待感が強くなっている。国債利回りが上昇している欧州債の購入、追加利下げなどの可能性が指摘されており、欧州リスクを背景とした投資家マインドの悪化に一定のブレーキが掛かっている。実際にECBによる欧州債購入という欧州版量的緩和(QE)が実施されれば、一時的にリスクオンの地合に傾き、ドル買い・円売りが膨らむ可能性はある。ただ、5月以降は78~80円のボックス相場が続いており、同レンジをブレイクするようなシナリオは描きづらい。
7月31日~8月1日には米連邦公開市場委員会(FOMC)開催を控えているが、声明文では景気見通しに関する引き下げが行われる可能性が高い。ただ、それが直ちに追加緩和策を引き出すのかは別問題であり、量的緩和第3弾(QE3)などに関する踏み込んだ動きはみられないだろう。異例な低金利政策の時間軸が、従来の「2014年遅くまで」から「2015年遅くまで」などに変更される可能性はあるものの、過大な政策な政策対応期待を持つべきではないだろう。ただ、日本銀行の政策対応が休止状態にある中、日米の金融政策環境の違いがドル安・円高圧力として機能する基本構図に変化はないだろう。リスクオンの地合からドル買い・円売りが膨らんだ局面は、改めてドルを売り込む好機になると考えている。
今後1週間の予想レンジは、78.00~79.00円。